肝斑とは?他のシミとの見分け方や原因、改善方法を徹底解説
肝斑とは両頬の辺りなどに左右対称に現れるシミの一種のこと。一般的なシミとは原因や治療法が異なり、間違った治療をすると悪化させてしまうおそれがあるので、しっかり見分けることが重要です。今回は肝斑の特徴と原因、他のシミとの違いや治療法、予防法について解説しますので、今後のケアに役立ててください。
肝斑とは?
肝斑(読み方:かんぱん)とは、両頬の辺りに現れる薄茶色の色素斑のことです。左右対称に、同じような形・大きさで現れ、一般的なシミと比べて輪郭がはっきりしていないのが特徴になります。
肝斑の見分け方
頬以外で額や口周辺にできることもありますが、瞼の薄い皮膚には現れません。輪郭のはっきりしないモヤッと広がるようなシミが、左右対称に現れるのが特徴で、30〜40代の女性に特に多く見られます。
また、色は一般的なシミに比べて薄い茶色をしているため、部分的に目立つようなシミではないのも見分けるポイントの一つです。
肝斑の出やすい場所と大きさ
肝斑が出やすい場所は主に以下の通りです。
- 頬
- 額
- 口周辺
基本的に頬全体に出やすい傾向があり、額や口周りにできることもあります。サイズはまばらで、小さいものから大きいものまで様々です。また発症時の模様としては、両頬骨に沿って帯状に出たり、ほほを中心に口元まで広範囲にわたって出たりします。
肝斑の出現する時期
肝斑は、主に30~40代に出現しやすく、50代でも出現することがあります。また、男性よりも女性に出現しやすい傾向があり、どちらも60代以降になると出現しにくくなります。
既に30~50代にかけて出現している場合、人によっては60代で薄くなる場合もあるようです。ただ、これに関しては個人差がありますので、間違えないように気を付けてください。
肝斑の色の濃さ
肝斑は薄い茶色のシミで、他のシミと比べると濃くはありません。ですが出現範囲が広いため、量が多くなると目立ちやすくなってしまうでしょう。また、個人差はありますが色の濃さは加齢によって薄くなっていく傾向があります。
ここまで、肝斑の見分け方を解説してきました。特徴などを確認していく中で、自身のシミが肝斑の特徴とは異なる方もいらっしゃるかと思います。そこで、自身のシミを正しく知るためにも以下の「シミ審断」の利用をおすすめします。シミには肝斑以外にも様々な種類があり、種類ごとに改善方法が異なるため、自身のシミを正しく知ることが大切です。シミ審断を活用して、自身のシミの種類を確認してみてください。
顔のシミが肝斑かどうかを正確に知りたいなら、シミ審断で自身のシミを調べてみましょう
肝斑とその他のシミの違い
肝斑の原因
代表的なシミの原因としてよく挙げられるのは紫外線ですよね。シミの一種である肝斑も紫外線の影響を受けますが、特徴的な原因のひとつはホルモンバランスの乱れであると示唆されています。その理由と、肝斑を悪化させる要因について解説します。
ホルモンバランスの乱れ
肝斑ができる原因は、明確には解明されていません。ですが、以下のような傾向があることから、女性ホルモンと関わりがあることは確かであると考えられています。
- 発生するのがほとんど女性である
- 特に妊娠や出産・ピルの服用などで、ホルモンバランスが大きく変動するタイミングに発生する
- 女性ホルモンの分泌量が低下する閉経後には、自然と薄くなっていく傾向がある
また、過度なストレスもホルモンバランスの乱れにつながるため、ストレスも原因の一つとして挙げられることがあります。
紫外線や肌の摩擦
直接の原因にはならずとも、肝斑も紫外線を浴びすぎると悪化して、色が濃くなる場合があります。他にも、過度なマッサージやゴシゴシと強い力での洗顔、気になるからと頻繁に手で触るなど、物理的な刺激も悪化の原因になるので注意が必要です。
肝斑は自分で消せる?
肝斑は美白有効成分入りの化粧品などによるセルフケアでの改善には、あまり期待できません。その理由として、肝斑の発生原因がホルモンバランスの乱れなど体の内側からの影響によるものだからと考えられます。そのため、肝斑を消す方法も体の内側から改善を試みる、内服薬による治療が効果的であるとされています。
肝斑は飲み薬での治療が効果的
肝斑は薬の内服により改善が期待できるシミと言われています。そのため、肝斑の治療をしたい場合には、まずは皮膚科に相談するようにしましょう。
肝斑には、トラネキサム酸という成分が効果的であるとされているため、皮膚科に行けばトラネキサム酸を含んだ薬が処方されます。また、トラネキサム酸と併せてビタミンCを内服するとより高い効果が得られるとされているため、担当医と相談の上、ビタミンCを摂取できる食習慣も意識してみると良いでしょう。
レーザー治療では悪化するおそれがある
一般的にシミ治療として皮膚科で行われているレーザーですが、肝斑の場合は悪化させてしまうことがあるので要注意です。肝斑と他のシミが重なって発生しているような場合に、肝斑を見落としてレーザー治療に進んでしまうといった例もあります。信頼できる医師にしっかりとシミの種類を見極めてもらい、慎重に治療を行う必要があります。
肝斑を悪化させない予防法
ホルモンバランスを整える
肝斑を予防するポイントは、まずは原因となり得るホルモンバランスの乱れを整えていくことです。具体的には以下のような方法があります。
- 6~8時間を目安に十分な睡眠をとる
- 栄養をバランスよく摂取できる食事を心がける
- ヨガやストレッチ、軽い運動などを取り入れて心身ともにリフレッシュする
以上の方法を取り組むことで、ホルモンバランスの乱れを整えていくことができるでしょう。健康な生活を送ることを意識して、肝斑の改善に取り組んでみてください。
紫外線対策をする
紫外線は老人性色素斑の主な原因とされていますが、肝斑の悪化の原因にもなるので、日頃からしっかり対策していく必要があります。照射量は変動しますが、紫外線は一年を通して降り注いでいるため、夏だけでなく冬も気を抜けません。日焼け止めや日傘、帽子などの基本の紫外線対策は欠かさないようにしてください。
肌に摩擦や刺激を与えない
摩擦などの刺激を減らすには、スキンケアのやり方を見直すと良いでしょう。洗顔は肌の上で泡を転がすイメージで行ってみてください。また化粧水や乳液などを塗るときも、手のひらで包むようにやさしく肌になじませるのがポイントです。
肝斑と他のシミが複合している場合は要注意
シミができるのは1種類とは限らない
シミは種類によって治療法が異なるので、間違った治療をするとなかなかシミが改善しない、逆に濃くなったという結果を招いてしまうことも。シミの治療を始めてもなかなか効果が実感できない場合は、いくつかのシミが複合しているか、そもそもシミの種類を間違えている可能性があるので、再確認してみましょう。
シミの種類やそれぞれの特徴については、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
シミが混在している場合には複合的なケアを行う
もし複数のシミが混在している場合には、一つの治療ですべてのシミを改善するというのは難しく、それぞれのシミに合わせた複合的なケアが必要です。
特に気を付けたいのは後天性メラノサイトーシス(ADM)で、肝斑やそばかすなど他のシミと併発しやすく、診断も難しいとされています。加えて後天性メラノサイトーシス(ADM)は内服では改善しづらく、レーザー治療が効果的と言われ、肝斑とは真逆の治療になるので慎重に見極めましょう。
肝斑に関するよくある質問
Q.肝斑は消える?
肝斑は薬の服用によって薄くすることができます。セルフケアでは改善に期待できないので注意してください。
Q.肝斑かどうかどうやって判断する?
肝斑かどうかを判断するには、出現箇所や大きさ、出現時期、色の濃さをもとに判断してみましょう。もし、わかりにくい場合には、以下のシミ審断を利用して調べてみるのもおすすめです。
顔のシミが肝斑かどうかを正確に知りたいなら、シミ審断で自身のシミを調べてみましょう
Q.肝斑ができる人の特徴は?
肝斑は30~40代の女性に出現しやすいシミです。50代でも出現することはありますが、60代にかけて薄くなっていく傾向があります。
Q.お金をかけずに肝斑を治す方法はある?
お金をかけずに肝斑を治すのは難しいでしょう。基本的には皮膚科へ行って薬を服用してもらうのが、最も効果的な方法として考えられています。
Q.トラネキサム酸は肝臓に悪いって本当?
肝斑の治療に使われるトラネキサム酸ですが、基本的に肝臓に「良いもの」ではありません。トラネキサム酸はサプリメントではなく薬剤なので、肝臓で解毒することで少しの負担がかかります。短期間であれば問題ありませんが、長期間服用し続けると肝臓への負荷は大きくなっていくことが考えられます。
他のシミと肝斑とは性質が違う!それぞれに合ったケアが大事
顔のシミが肝斑かどうかを正確に知りたいなら、シミ審断で自身のシミを調べてみましょう
監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長
・所属学会
日本抗加齢学会/日本麻酔科学会/日本オーソモレキュラー医学会/国際オーソモレキュラー医学会/
国際抗老化再生医療学会/臨床水素研究会/日本東洋医学会正会員
・経歴
2007年山梨大学医学部卒業、その後国際医療センター国府台病院で初期研修。研修後は日本医科大学麻酔科に入局し勤務。
その後大手美容クリニック勤務ののち、一般皮膚科、美容皮膚科などの勤務、院長勤務などを経て現在はGINZA Zen禅クリニック院長。
人が持つ本来の美しさを引き出すことをモットーに、たくさんの患者の様々な皮膚と真剣に向き合う。